現場からの質問
AI業務委託を始めようとしている中小企業の総務担当です。フリーランスや外部の法人クリエイターへの発注にあたって、「やってはいけないこと」があると聞きました。独占禁止法や下請法との関係も含めて、具体的に教えてください。特に、無意識にやってしまいがちな行為も知りたいです。
AI+行政書士・社労士の回答
ご質問ありがとうございます。内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省が連名で策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日)には、発注企業が行ってはならない12の行為類型が明示されています。社会保険労務士・行政書士の立場から、AI業務委託に特化した実務的な解説をお伝えします。
【なぜ今、これを知る必要があるのか】
2024年11月のフリーランス新法施行に続き、公正取引委員会はフリーランスへの優越的地位の濫用について監視を強化しています。2026年5月にはシアー株式会社が「不当な給付要請」として公取委の勧告を受けた事例(令和8年5月)も発生しており、中小企業も例外ではありません。「知らなかった」では済まされない時代になっています。
【絶対にやってはいけない12の行為】
(1)報酬の支払遅延
社内の支払手続きの遅延や、検収を意図的に引き延ばすことにより、契約で定めた支払期日に報酬を支払わない行為。フリーランス新法では、成果物受領から60日以内の支払が義務付けられています。AI業務委託では「動作確認に時間がかかる」を理由に支払を遅らせるケースが要注意です。
(2)報酬の減額
業績悪化や予算不足を理由に、成果物の提供後に一方的に報酬を減額する行為。「思ったより使わなかった」「クオリティが期待より低かった」という主観的な理由での減額は違法です。
(3)著しく低い報酬の一方的な決定
自社の予算単価のみを基準として、通常の市場価格より著しく低い報酬を一方的に決定する行為。AI業務委託では「AIを使うから安くできるはず」という理由での買いたたきが問題になりやすいです。
(4)やり直しの要請
当初の仕様を満たしているにもかかわらず、後付けの要件や主観的な好みを理由に無償でのやり直しを強要する行為。事前に「検収合格の基準」を契約書に明記することが防衛策となります。当プラットフォームの契約書雛形では、この検収基準の明記を必須項目としています。
(5)一方的な発注取消し
クリエイターがすでに作業に着手または完了しているにもかかわらず、自社の都合により一方的に発注を取り消し、報酬を支払わない行為。「方針が変わった」「担当者が異動した」は正当な理由になりません。
(6)役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
AIで生成したコンテンツや制作物の著作権について、「報酬を払ったから全部うちのもの」と一方的に決定する行為。著作権の譲渡には明示的な契約が必要です。当プラットフォームの契約書第3条(AI利用・知的財産権)に対応条項を設けています。
(7)役務の成果物の受領拒否
業績不振や担当者の変更を理由に、完成した成果物の受け取りを拒否する行為。納期通りに納品された成果物の受領拒否は下請法違反にもなります。
(8)役務の成果物の返品
検収完了後に、「やっぱり使わなかった」「お客様からクレームが来た」などを理由に成果物を返品する行為。
(9)不要な商品または役務の購入・利用強制
自社が指定するツール・ソフトウェア・サービスの購入を、取引継続の条件として強要する行為。「うちのシステムを使わないと発注しない」は典型的な違反例です。
(10)不当な経済上の利益の提供要請
「無償のテスト制作」「サンプルとして無料でやってほしい」「まず1本無料で作ってみて」という形で、契約前に無償の役務提供を要請する行為。これは公取委が特に重点的に監視している行為類型です。AI業務委託では「プロンプトの無償開発」「テスト用コンテンツの無償制作」が該当します。
(11)合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定
「他社の仕事は一切受けるな」「うちで培ったスキルで他社の仕事をするな」という形で、合理的な範囲を超えた競業避止義務・専属義務を一方的に設定する行為。
(12)その他取引条件の一方的な設定・変更・実施
上記11類型に該当しない場合でも、取引条件を一方的に不利に設定・変更する行為全般。「急に支払サイトを延ばした」「突然、追加業務を無償で要求した」などが該当します。
【特にAI業務委託で注意が必要な3つの行為】
上記12行為の中で、AI業務委託において特に発生しやすいのは(3)(4)(10)です。
「AIを使うから安い」という思い込みによる買いたたき(3)、後から「イメージと違う」と言い出す無償やり直し強要(4)、「まず無料でサンプルを見せて」というテスト制作の無償要求(10)の3つは、AI業務委託の現場で頻繁に問題になっています。
【業務委託契約書で事前に防衛する方法】
これらのリスクを防ぐ最も確実な方法は、取引開始前に適切な業務委託契約書を締結することです。当プラットフォーム「AI-リーガル(ai-link.maituki.net)」では、上記12の違反行為に対応した条項(検収基準・報酬支払期日・著作権帰属・やり直し制限・競業避止の合理的範囲設定)を組み込んだ契約書雛形が自動生成されます。
さらに、貴社のビジネスモデルに合わせた個別カスタマイズを顧問行政書士・社会保険労務士が承っています(初回相談無料)。まずは案件一覧ページから契約書雛形の確認をお試しください。
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