現場からの質問
「フリーランス新法がスタートしましたが、生成AIを使って成果物を作ってもらう場合、発注書(取引条件の明示)にはどのような文言を追加しておくべきでしょうか?
AI+行政書士・社労士の回答
2024年11月にスタートした「フリーランス新法(特定受託事業者併走適正化法)」。発注企業には、業務委託を依頼する際に取引条件を即座に明示する義務(第3条)が課されています。
今、現場の総務・法務担当者や経営者から最も多く寄せられるのが、「生成AIを使って成果物を作ってもらう場合、発注書には何をどこまで書けばいいのか?」という疑問です。
単に「法律を守る」だけでなく、AI特有のリスク(情報漏洩、著作権侵害、クオリティのばらつき)から自社を守り、優秀な外部人材と良好な関係を築くために、今すぐ発注書(または仕様書)に追加すべき「3つの特約文言」を専門家の視点から解説します。
1. 情報漏洩を防ぐ「AIの使用範囲」に関する文言
フリーランスが良かれと思って、自社の機密データや顧客情報をChatGPTなどの生成AIに入力し、それがAIの学習データとして取り込まれてしまうリスクがあります。発注書には、使用してよいツールの範囲と条件を明記しましょう。
【発注書への記載例】
「本業務において受注者は、商用利用が認められた生成AIツール(例:ChatGPT Plus等の有料プラン)に限り使用できるものとする。ただし、入力データがAIの追加学習に利用されない設定(オプトアウト)を行うこと、またはそれに準ずる機密保持が担保された環境での利用を必須とする。」
2. 著作権トラブルを回避する「表明保証」の文言
AIが生成した画像や文章が、意図せず他人の既存の著作権を侵害していた場合、最終的に損害を被るのが発注側になってしまう恐れがあります。「成果物に問題がないこと」を受注側に保証してもらう一文が必要です。
【発注書への記載例】
「本業務における成果物の著作権は、検収合格をもって発注者に移転する。受注者は、成果物が第三者の著作権、意図的なトレース、その他の知的財産権を侵害していないことを表明し、保証する。万が一、第三者から権利侵害の申し立てがあった場合、受注者は自己の責任と費用においてこれを解決するものとする。」
3. 「思ったものと違う」を防ぐ「検収・修正」の文言
AI成果物はスピーディに作成できる反面、発注者のイメージと乖離しやすい特徴があります。「どこまでが基本料金内での修正か」を巡るトラブルは後を絶ちません。新法が定める「不当な給付拒否」の禁止に抵触しないためにも、基準を数値化・明確化しておきます。
【発注書への記載例】
「検収基準は、別紙『指示プロンプトおよび仕様書』に定める要件を満たしていることとする。AIの出力特性に起因する明らかな不自然さ(テキストの誤字脱字、画像の一部破綻など)がある場合、受注者は納品後〇日以内に、最大〇回まで無償で修正対応を行うものとする。」
まとめ:新法を「足枷」ではなく「攻めの防壁」にする
フリーランス新法は、一見すると発注企業側の負担が増えるように思えるかもしれません。しかし、AIという新しい技術を活用する現代においては、むしろ「最初に見る書面で、お互いのルールを100%クリアにしておくための絶好のツール」になります。
事前に対策を仕組み化(システム化)しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して外部のAIクリエイターの力を経営にレバレッジさせることができるのです。
「自社の現在の発注書に、この文言をそのまま組み込んでも法的に問題ないか?」「自社専用のAI発注テンプレートを作りたい」といった実務的なデータベースの設計やリーガルチェックは、ぜひ当事務所(AI-リーガル)へお気軽にご相談ください。
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